「税務調査はいつ来るのだろう?」と不安に思われている方もいらっしゃるかもしれません。結論から申し上げますと、税務調査の実施時期に「この時期に調査が行われる」という明確な決まりはありません。しかし、税務調査官が調査対象を選定する上で、いくつかの傾向や考慮される事項があることは事実です。
税務調査は、国税庁が管轄する税務署が、適正かつ公平な課税を実現するために実施するものです。そのため、調査官は限られた人員と予算の中で、より効果的に調査を進めるための計画を立てています。
| 調査対象 | 具体例 |
| 法人 | 株式会社、合同会社、医療法人、NPO法人など |
| 個人事業主 | フリーランス、商店、飲食店経営者、不動産所有者など |
これらの法人や個人事業主は、税務調査の対象となる可能性があります。調査の対象となる時期は、申告時期や決算時期、あるいは特定の業界の動向など、様々な要因によって左右されると考えられています。次の章からは、法人と個人事業主、それぞれの税務調査の入りやすい時期や頻度について、より詳しく解説していきます。

法人の税務調査、入りやすい時期と頻度
決算月と税務調査の実施時期の関係性
税務調査の実施時期は、法人の決算月と密接な関係があると考えられています。税務署が調査対象となる法人を選定するためには、各法人が決算を終え、確定申告が行われた後に、その内容を精査する必要があるからです。したがって、法人の調査が行われる時期は決算月に大きくかかわってきます。
具体的には、以下のような関係性が考えられます。
| 決算月 | 税務調査の実施時期(傾向) |
| 2月~3月 | 7月~12月頃 |
| 4月~10月 | 9月~2月頃 |
| 11月~1月 | 3月~6月頃 |
ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、税務調査の実施時期は、税務署の人員状況や、税務署が把握している個別の企業の申告内容、過去の調査履歴など、様々な要因によって決定されます。そのため、決算月だけで調査時期を完全に予測することは困難です。
また、税務署では、調査対象の選定にあたり、企業の規模や業種、過去の申告内容などを総合的に判断していますので、申告内容に疑義が生じている企業は、決算月に関わらず調査対象となる可能性が高まります。
法人税務調査の一般的な頻度
法人の税務調査は、すべての法人に平等に実施されるわけではなく、調査対象となる法人の選定には様々な要素が考慮されます。一般的に、税務調査の頻度は、法人の規模や業種、過去の調査履歴などによって変動しますが、ある程度の目安は存在します。
国税庁の統計によると、法人の税務調査の実施率は、おおよそ数パーセント程度にとどまっています。しかし、これはあくまで平均値であり、個別の法人に当てはまるものではありません。
特に、売上高が大きかったり、業績が急激に変動したり、過去に不正が指摘されたことがある法人などは、調査対象となる可能性が高まります。
税務調査は、税務署が保有する様々な情報や、他の法人との比較データなどを基に、申告内容に疑義がある、あるいは不正が疑われると判断された場合に実施されます。そのため、日頃から適正な申告を行うことが、税務調査の対象となるリスクを低減させることに繋がります。
10年以上税務調査がない法人の特徴
長期間にわたり税務調査を受けていない法人には、いくつかの共通する特徴が見られます。これらの特徴を持つ法人は、税務署から見て「調査の必要性が低い」と判断されている可能性が高いと言えます。
| 特徴 | 詳細 |
| 適正な申告と納税 | 過去の税務調査において指摘事項がなく、毎年度適正な申告と納税を継続している。 |
| 経理処理の正確性 | 過去の調査において、帳簿書類が整理されており、経理処理に明らかな誤りや不正が見当たらず、日頃から正確な記帳が行われていると判断されている。 |
| 売上・利益の安定性 | 売上や利益が極端に急増・急減しておらず、比較的安定した経営状況を維持している。 |
| 税理士による関与 | 信頼できる税理士が顧問についており、税理士が申告内容を精査し、適切な税務アドバイスを受けていると考えられている。 |
| 業種・規模 | 税務調査の対象となりやすいとされる業種や、高額な取引が頻繁に行われるような大規模法人ではない。 |
ただし、これらの特徴があるからといって、将来的に税務調査の対象にならないとは限りません。税務署は独自の収集情報や全国的な調査方針に基づき、対象法人を選定します。

個人事業主の税務調査、入りやすい時期と頻度
確定申告後の時期に調査が始まる
個人事業主の場合、税務調査は2月から3月の確定申告の時期を過ぎた後、4月以降に開始する傾向が見られます。これは、税務署が申告書の内容を精査し、調査対象を選定し、直ちに調査に取り掛かるためです。
一般的に、税務調査の対象となるかどうかは、以下のような点が考慮されると考えられています。
| 調査対象になりやすい点 | 詳細 |
| 申告内容の不自然さ | 売上や経費の計上内容に疑問がある場合 |
| 過去の調査履歴 | 過去に不正が指摘されたり、重加算税が課されたりしたことがある場合 |
| 業種・業態 | 税務署が特に注視している業種や、不正が疑われやすい業種 |
| 情報提供 | 税務署に取引先や従業員などからの情報提供があった場合 |
| 所得の変動 | 前年と比較して所得が大幅に減少している、または急増している場合 |
確定申告を終えた後も、税務署はこれらの要素を基に調査の必要性を検討しています。そのため、申告内容に誤りがないか、添付書類は適切かなどを事前に確認しておくことが大切です。
個人事業主の税務調査の一般的な頻度
個人事業主の場合、税務調査の頻度は法人の場合と、一般的には「5~10年に1回程度」といわれています。ただし、これはあくまで目安であり、業種や事業規模、過去の調査結果などによって変動します。
税務調査の頻度を左右する要因として、以下のような点が挙げられます。
| 要因 | 説明 |
| 業種 | 飲食業など現金取引が多い業種、または建設業などは調査対象になりやすい傾向があります。 |
| 事業規模 | 売上高や利益が大きい事業者は、調査の対象となる可能性が高まります。 |
| 過去の 調査結果 | 過去に申告漏れなどが指摘された事業者は、調査の対象となることがあります。 |
| 申告内容 | 不自然な赤字の計上や、急激な経費の増加など、疑義のある申告は調査につながります。 |
| 情報提供 | 税務署に不正の疑いに関する情報提供があった場合、調査が実施されることがあります。 |
特に、消費税の免税事業者となる売上高1,000万円未満での申告が続く場合や、不自然な利益の変動が見られる場合は、調査の対象となる確率が高まる可能性があります。日頃から正確な経理処理を行い、適正な申告を心がけることが、税務調査の対象となるリスクを低減させる上で重要となります。

法人・個人共通!税務調査が増える時期と理由
人事異動後の調査増加
税務調査が増加する時期には、税務署の人事異動が関わってきます。税務署では人事異動が7月に行われ、組織体制の変更や担当者の入れ替えが行われます。
この時期以降に税務調査が増える背景には、いくつかの理由が考えられます。
- 担当者の引き継ぎと新規調査の開始:
人事異動により、これまで担当していた調査官が部署を異動したり、新たな調査官が着任したりします。この際に、未着手の案件や新規の調査案件が整理され、調査が開始されるケースがあります。 - 部署間の連携強化:
税務署では、人事異動を境に部署間の情報共有や連携体制が変更されることがあります。これにより、以前は見過ごされていた可能性のある申告内容についても、改めて精査される機会が増えると可能性があります。
特に、前任者から引き継がれた案件や、異動によって新たな視点で見直されることで、調査対象となる法人が増加する傾向が見られます。
税務調査の対象になりやすいタイミング
税務調査は、すべての納税者に対して平等に実施されるわけではありません。国税庁や税務署は、より効率的に適正な申告を促すために、調査対象を選定しています。以下のようなタイミングや状況は、税務調査の対象となりやすい傾向があります。
- 売上・利益の急激な変動: 前年と比較して売上や利益が著しく増加または減少した場合、その背景に不正や誤りがないか調査される可能性があります。
- 不自然な利益の減少: 売上高が横ばいであるにも関わらず、経費が不自然に増加して利益が減少している場合、実態と異なる申告が行われていると見なされることがあります。
- 売上高1,000万円未満での申告: 消費税の課税事業者となるかどうかの境界線である1,000万円未満で売上を調整していると疑われるケースです。
- 申告漏れ・無申告: 過去に申告漏れがあったり、無申告の状態が続いている場合、税務署からマークされやすくなります。
- 長期間の税務調査未実施:長期間税務調査を受けていない法人や個人事業主は、過去の申告内容に問題がないか確認される対象となることがあります。
- 三期比較での売上・原価・経費の不自然な増加: 3期分の決算書を比較した際に、売上、原価、経費のいずれかが不自然に変動している場合、その原因を調査される可能性があります。
これらのポイントに該当する場合、税務調査の対象となる確率が高まります。日頃から正確な経理処理を行い、適正な申告を心がけることが重要です。
税務調査の事前準備と対策
税務調査には、事前の通知がある「任意調査」と、突然行われる「強制調査」の2種類があります。任意調査の場合は、事前の通知を受けてから調査が開始されるため、落ち着いて対応することが可能です。
調査の一般的な流れは、以下のようになります。
- 事前通知・調査通知:税務署から調査日時や目的などの連絡があります。
- 調査当日:税務署の調査官が来訪し、帳簿書類の提示や説明を求められます。
- 指摘・告知:申告内容に誤りが認められた場合、修正申告の勧奨や更正処分が行われます。
- 納税:指摘内容に基づき、不足している税金があればを納付します。
事前通知があった際には、指定された日時に調査官を受け入れ、必要な書類を提示・説明できるように準備を進めましょう。通常、調査には数日かかります。
また、事前通知が行われずに調査が行われる場合もあります(無予告調査)ので、日頃から税務調査に備えておくことも重要です。
調査に必要な書類は多岐にわたりますが、主に以下のようなものが挙げられます。
| 区分 | 主な書類 |
| 決算関係書類 | 決算書、勘定科目内訳明細書、総勘定元帳、試算表など |
| 証憑書類 | 請求書、領収書、契約書、納品書、仕訳伝票など |
| 給与・人件費関連 | 給与台帳、源泉徴収簿、年末調整関係書類など |
| その他 | 減価償却資産の管理台帳、固定資産税関係書類、株主名簿など(法人の場合) |
日頃から記帳を正確に行い、証憑書類を整理しておくことが、税務調査への最も有効な対策となります。不明な点や複雑な取引がある場合は、税理士に相談することで、適切な経理処理のアドバイスを受けられたり、調査時の心強いサポートを得られたりするメリットがあります。
みのわ税理士事務所の伴走支援
税務調査には“決まった時期”がないからこそ、平時の整備が鍵になります。
みのわ税理士事務所は、法人・個人事業主の実態に合わせて、事前準備から税務調査、交渉までを一気通貫で支援します。
こんな方に
- ここ数年、調査がなく不安(長期未実施)
売上・利益が大きく変動/売上1,000万円未満が続く
申告はしているが、説明資料や整頓に自信がない
申告した内容に誤りがあった
過去の申告をしていない(無申告)
まさに今、税務調査が行われている
“来てから慌てる”ではなく、“できれば来ないように、来ても困らない”体制へ。
自社の状況に合った優先順位づけから始めたい方は、みのわ税理士事務所へお気軽にご相談ください。
まとめ
日頃から正確な記帳を行い、税法を遵守した申告を心がけることが、税務調査への最も効果的な対策となります。万が一、調査の対象となった場合でも、慌てず、正確な資料を提示できるよう、日頃からの準備が重要です。
他地域の税理士事務所をお探しの方
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元国税調査官の経験を活かし、東京都荒川区を拠点に、税務顧問や税務調査対応、無申告の方へのサポートを行っています。特に税務調査に関しては、豊富な経験を持ち、夜間・土日祝日も対応可能です(要予約)。
クラウド会計やコミュニケーションツールも積極的に活用し、経営者の皆様に寄り添ったサポートを提供しています。無料相談も受付けておりますので、お気軽にご相談ください。
