税務調査に強い税理士の特徴

1 税務調査と税理士

税務署の調査が入る場合、たいていの法人や個人の方は調査に不慣れなため、適正に申告を行っていたとしても少なからず不安に感じるものです。そのような場合には、税理士に調査の立会いを依頼することをお勧めします。

税理士との顧問契約があれば、一般的には顧問税理士が調査に立会うこととなりますし、顧問契約をしていない場合であっても、スポットで税理士に調査の立会を依頼することは可能です。

ここで重要なのは、税務調査の経験が豊富である税理士を選ぶということです。しかしながら、税務署が1年間に税務調査に入る確率は5%以下(年度や数字の取り方により異なります。)と非常に低率であるため、税務調査の経験が豊富である税理士は少ないというのが現状です。

2 元国税調査官の税理士について

税務調査の経験が豊富な税理士は少ないと上述しましたが、元国税調査官の税理士においては事情が異なります。

元国税調査官の税理士とは、税理士として活動する前に国税庁(国税局、税務署等を含みます。)で働いた経験を持つ税理士のことです。元国税調査官には国税庁勤務時代に数々の税務調査に携わっている税理士も多く、そのような税理士であれば依頼者の強い味方と成り得ます。

3 元国税調査官の強み

⑴ 税務署の調査方針を熟知した対応

元国税調査官の税理士は、以前に税務署側で調査に携わった経験から、税務署の考えていることが手に取るように分かります。税務調査の過程では、資料の提示から修正申告の提出に至るまで様々な要請があります。

取るべき対処方法は内容によりけりですが、税務署の要請が不合理であれば毅然として税務署側と議論する必要がありますし、拒絶することによってさらに厳しい処分が予想できるケースでは、要請に従った方が依頼者にとって調査が有利に展開する場合もあります。

元国税調査官であれば、それぞれの場合のメリットとデメリットを見極めることができ、依頼者が適切な判断を下す手助けをすることができます。

⑵ 法律に基づいた正当な主張

税務調査の過程では、課税しようとする税務署側と課税されたくない税理士との間で議論が行われることが多々あります。税務署では組織内で日頃から議論を重ねているため、元国税調査官は税務署との議論の際にもその経験が生かし、依頼者の立場で法律に基づいた正当な主張をすることができます。

⑶ 税務調査を意識したアドバイス

税務には税務署が調査に入る段階で対策を講じようと考えても手遅れである論点も少なからずあります。元国税調査官の顧問税理士であれば、日頃から税務調査を意識した的確なアドバイスを行うことができます。

⑷ 調査官目線での申告書作成

国税庁勤務の経験が生きるのは、税務調査の場面だけではありません。元国税調査官の税理士は、国税庁勤務時代にたくさんの申告書の中から調査の必要性を見極めてきた経験がありますので、どのような申告書が調査に入られ難いかを熟知しています。申告書を作成する際には、その経験を基に税務調査を意識した申告書を作成できます。

⑸ 書面添付制度の利用

書面添付制度とは、税理士が作成した申告書に「税理士法33条の2第1項に規定する添付書面」という書類を添付することにより、申告書に信頼性を与える制度です。同制度を利用した場合、税務署は税務調査の前に税理士に対して意見を聴かなければならないこととされており、税理士の意見を聴いた結果として税務調査が行われなくなるということも珍しくありません。

同制度の利用に関するノウハウは一般に広まっているとは言い難いので、制度を利用できる税理士は貴重な存在です。

3 元国税調査官(国税OB税理士)の選び方

上述したように、税務調査対策として元国税調査官の税理士を顧問にしたり、調査の立会を依頼したりすることは有効であると考えられますが、元国税調査官であれば誰でも安心という訳ではありません。中には、税務調査の経験が乏しい税理士や税務調査から長く遠ざかっている税理士もいます。

また、お客様に対して横柄な態度で接する税理士も少なからず存在すると聞きます。お客様の状況に相応しい税理士を慎重に選ぶことをお勧めします。

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