顧問税理士の特徴-節税対策ができる

1 節税対策の注意点

一般に節税といわれている手法には、単なる利益の繰延に止まる(税負担を将来に先延ばしするに過ぎない)ものや、節税対策を行った結果、減少した税金以上に会社のお金が減ってしまうものが多くあります。

また、節税を行ったことによって、財務状態が悪化し金融機関からの融資が受けにくくなる場合もありますので、節税対策は顧問税理士に相談し慎重に行うことをお勧めします。

以下では、取り組みやすい主な節税手法を紹介します。目新しいものはありませんが、比較的デメリットが少なく取組やすい手法です。

2 主な節税手法

⑴ 青色申告(所得税・法人税)

所得税にも法人税にも青色申告という制度があります。これは申請書を提出し税務署から承認を受けることによって、節税に繋がる各種の税務上の特典が受けられる制度です。

青色申告を行うには帳簿の作成等いくつかの要件がありますので、顧問税理士がいない場合には少々ハードルが高くなりますが、顧問税理士がいる場合には必ず利用されている制度です。

青色申告の主な特典は次のとおりです。

① 所得税の特典

  • 最大65万円の特別控除
  • 純損失(赤字)の3年間繰越控除・繰戻還付
  • 青色専従者給与(家族に対する給与)の経費計上
  • 少額減価償却資産の特例
  • 一括評価による貸倒引当金の繰入
  • 給与等の支給額が増加した場合の税額控除

② 法人税の特典

  • 欠損金(赤字)の10年間繰越控除・繰戻還付
  • 少額減価償却資産の損金算入(中小企業者等のみ)
  • 機械装置を購入した際の税額控除(中小企業者等のみ)
  • 給与等の引上げを行った場合の税額控除

⑵ 小規模企業共済(所得税)

小規模共済制度とは、個人事業主や法人の役員が掛金を積立てることにより、廃業や退職後に掛金に応じた共済金(退職金)を受取ることができる制度です。

所得税の計算上、掛金は全額所得控除の対象(経費と同じ効果)とすることができます。また、受取った共済金は税制上有利な退職所得又は雑所得(公的年金)となりますので、相当の節税効果が生じます。

⑶ iDeCo(所得税)

iDeCoとは一定額を積立て、選択した金融商品で運用し60歳以降に受取ることができる制度です。

所得税の計算上、掛金は小規模企業共済と同様に全額所得控除の対象とすることができます。積立金の運用に利益が生じたときも税金はかからず、積立てた金額と運用益を60歳以降に一時金又は年金として受取る際には、それぞれ退職所得、雑所得(公的年金)となりますので少ない税負担で運用することが可能です。

⑷ 役員報酬の調整(所得税・法人税)

法人が支給する役員報酬の額は任意に変更することができます(株主総会等の決議が必要です。)。役員報酬を多くすると法人税等の負担が少なくなり、役員の所得税等の負担が多くなります。

反対に、役員報酬を少なくすると法人税等の負担が多くなり、所得税等の負担が少なくなります。法人税と所得税は所得(利益)によって税率が異なりますので、役員報酬を増減させることによって、法人税と所得税のバランスを調整することができます。

なお、役員報酬を法人の損金(経費)とするためには、報酬額を毎月定額にする必要があります。また、原則として、役員報酬の変更ができるタイミングは事業年度開始から3か月以内とされていることに注意が必要です。

⑸ 出張旅費(所得税・法人税・消費税)

法人が役員及び従業員に給与を支給した場合、受取った者には所得税がかかりますが、法人が旅費規程を作成して定められた出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当)を支給した場合には、受取った者に所得税はかかりません。また、法人は支払った額を法人税の経費とすることができ、消費税の仕入税額控除の対象とすることもできます。

なお、この取扱いには、役員のみでなく一般従業員にも出張旅費を支給すること、通常必要であると認められる金額であること等が要件となることに注意が必要です。

⑹ 役員社宅(所得税・法人税)

法人名義で契約した物件を社宅として役員に貸出すことができます。法人が支払った額は法人税の経費とすることができ、一定額以上の家賃を役員から受け取ることによって役員に所得税はかかりません。

⑺ 簡易課税の選択(消費税)

消費税は、原則として事業者が売上等に係る消費税と仕入等に係る消費税の差額を納める仕組みとなっています(「原則課税」といいます。)。これに対して、簡易課税制度とは、売上に係る消費税に業種毎に定められた一定の割合乗じることによって納める消費税額を計算する制度です。

事業者は任意に簡易課税を選択することができますが、簡易課税を選択する場合は事前に届出書を提出する必要があり、簡易課税を選択した場合には少なくとも2年間は継続する必要があります。

このため、節税を企図して簡易課税を選択したとしても、目論見が外れ結果として税負担が多くなってしまう可能性もありますので、慎重な判断が求められます。

また、簡易課税を選択していても基準期間(原則2年前)の課税売上高が5,000万円を超えた場合には簡易課税によって税額を計算することはできず、原則課税によって計算しなければならないことにも注意が必要です。

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