今までの無申告をなんとかしたい方へ

1 無申告について

確定申告をしていない無申告の方からのお問い合わせが多くなっています。申告していない理由は様々ですが、無申告には多くのリスクがあります。

2 無申告のリスク

⑴ 税務調査等

無申告の場合、税務署の調査の対象となる可能性が高まります。税務署の調査を受けた場合、最長7年分の申告・納税が求められる場合があります。また、状況によっては国税局査察部(マルサ)の調査を受ける可能性があります。

⑵ 加算税・延滞税

提出すべき申告書を正当な理由なく期限内に提出しなかった場合、本来納めるべき税金の他に無申告加算税(又は重加算税)と延滞税を支払う義務が生じます。

税務調査の通知を受けた後に申告書を提出した場合、段階に応じて10%~20%の無申告加算税が課されますが、隠蔽等があったと判断された場合には40%の重加算税が課されます。他方、税務署からの連絡前に自主的に申告書を提出した場合は5%の無申告加算税が課されます。

また、利息に相当する延滞税(年により率が変動します。)も課されます。

【加算税の計算例】

① 所得税の税務調査後に2,000,000円の所得税が課された場合

無申告加算税:500,000円(50万円以下の部分)×15%+1,500,000円(50万円超の部分)×20%=375,000円

② 所得税の税務調査後に2,000,000円の所得税が課された場合(隠蔽あり)

重加算税:2,000,000円×40%=800,000円

③ 所得税の期限後申告(所得税額2,000,000円)を自主的に提出した場合

無申告加算:2,000,000円×5%=100,000円

⑶ 刑事罰

無申告の場合や虚偽の申告書を提出した場合には、税金の負担に止まらず、刑事罰の対象となる場合があります。

① 無申告犯

正当な理由なくして確定申告書をその提出期限までに提出しなかった場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることがあります。

② 無申告逋脱犯

故意に申告書を期限までに提出しないことによって税金を免れた場合には、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはその両方が科されることがあります。

③ 逋脱犯

偽りその他不正の行為によって,税金を免れた(還付を受けた)場合には、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその両方が科されることがあります。

⑷ 収入を証明できない

融資を受ける際、住宅を借りる際、クレジットカードを作成する際、子供を保育園に入れる際等に申告書の控の提出を求められることがありますが、無申告の場合にはこれを提出できず、手続きに支障をきたす場合があります。

3 無申告は税務署にバレるのか

税務署は様々な方法で納税者の情報を得ており、それによって無申告がバレることがあります。以下がその代表的な情報源です。

⑴ 支払調書

支払調書とは報酬等の支払先と金額等を示す書類で、一定の条件の下で税務署への提出が義務付けられています。

⑵ 一般取引資料せん

一般取引資料せんとは、税務署から事業者に対して提出を求める資料のことで、これにより売上や仕入、外注費やリベート等について、その取引先の住所、振込口座、取引金額等の情報が寄せられます。

⑶ 取引先の税務調査

取引先に対する税務調査によって、税務署が情報を得ることがあります。

⑷ 取引先の申告書等

税務署に提出される申告書等には、その取引先に関する情報も多く記載されています。

⑸ 登記情報

不動産の登記情報によって、税務署は売買や相続の情報を得ることができます。

⑹ 一般の方からの情報提供

税務署には一般の方からも情報(タレコミ)が寄せられます。また、国税庁はホームページでも情報提供を呼び掛けており、何気なく知人に話した内容から税務署に情報がもたらされる場合があります。

⑺ 預貯金の口座

預貯金の口座の入出金も税務署は調べることが可能です。

4 期限後申告のすすめ

無申告の状態が続いている場合、上述したようなリスクに加えて、いつ税務署に発覚するかが分からず多大なストレスを抱えることとなります。ここから脱却する唯一の方法は申告書を提出すること(期限後申告)です。

過去の記憶が曖昧であったり、取引関係の書類が保存されていない等、ご自身で申告書を作成することが困難なケースもあるかと思います。そのようなときは税理士にご相談ください。

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