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1 法人に対する税務調査について
税務調査の対象となる法人は税務署が脱税や申告漏れを疑っている法人に限らず、特に問題が見込まれない法人に対しても申告内容の確認を目的とした税務調査が行われます。
税務調査は適正に申告を行っていれば過度に恐れる必要はありませんが、法人に対する税務調査は数年に一度しか行われないため多くの法人は調査に不慣れです。
調査に不慣れな法人のみで適切な対応をすることは困難と思われますので、経験豊富な税理士に立会を依頼することをお勧めします。
2 税理士が調査に立会うメリット
⑴ 事前準備
税理士が税務調査に立会うメリットとして、調査の事前準備ができるという点が挙げられます。税理士が立会うことにより、調査において指摘される可能性がある項目を想定し、事前に必要書類や質疑応答の準備をしておくことが可能です。
また、日頃より税理士が税務調査を意識したアドバイスや帳簿作成を行うことによって、税務調査が行われた場合でも慌てることなく落ち着いて対応できることとなります。
⑵ 心理的負担の軽減
ほとんど法人にとって税務調査は不慣れなものです。たとえ疚しいことがなかったとしても調査が無事終了するまでの心理的な負担は計り知れません。
経験豊富な税理士が調査に立会い適切に対応し、調査を速やかに終結させることは、心理的な負担を軽減させることにも繋がります。
⑶ 税務署との折衝
税務調査を無難に乗り切るには税務署側とのコミュニケーションが必要不可欠です。税務署側の質問や疑問点に的確に回答することで、追徴課税や反面調査(取引先等へ調査)のリスクが軽減されます。
① 税負担の軽減
税務調査で論点として挙げられる事項には、事実関係や法律の解釈等によって負担すべき税額が異なってくるグレーゾーンというものが存在します。
税務署側の主張の妥当性を判断し、事実関係や取引の趣旨等を粘り強く説明することによって、追徴課税を防ぐことができる場合があります。
② 反面調査の回避
税務署側が取引の税務処理や事実関係に疑問を抱いた場合に取引先等に対する反面調査が行われる場合があります。
取引先等の信用を失う可能性もあるため、反面調査はできるだけ避けたいものです。反面調査が行われる前に事実関係を的確に説明し税務署側を納得させることが反面調査の回避に繋がります。
⑷ 調査の早期終結
法人に対する税務調査は数か月間に及ぶことも珍しくありません。しかしながら、調査が長引くと、通常業務の遂行に影響を与えるばかりか、終結の見通しが立たないことによって法人経営者はストレスを抱え続けることになります。
また、結果として追徴税額が発生しなかったとしても情報漏洩や風評被害等のリスクが高まります。
税理士が立会うことによって、調査の見通しを示すことが可能となり、また税務署側の意図を掴んだ対応を行うことが調査を早期終結へと導くことに繋がります。
3 経験豊富な税理士による調査立会
税理士が税務調査に立会うメリットについて上述しましたが、その効果の程度は税理士の経験と知識により様々です。税務調査の経験がない税理士も少なくありませんので、経験豊富な税理士に依頼することをお勧めします。
4 書面添付制度の活用
税務調査の対策として、書面添付制度の活用も有効です。
書面添付制度とは「税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面」という書面を申告書に添付に関する制度のことです。本書面を作成し申告書に添付すると、原則として税務署には調査を行う前に税理士の意見を聴取する義務が生じます。税理士の意見を聴取した結果、調査が行われなくなる場合も少なくありません。
5 顧問税理士と税務調査
多くの法人は既に顧問税理士と契約されていることと思います。税務調査がある場合、顧問税理士以外の税理士に立会いを依頼することも可能ですが、一般的には顧問税理士が立会うことが多くなります。
しかしながら、税務調査の対応の不備から、調査後に顧問税理士を変更する法人も多いと聞きます。顧問税理士を選ぶ際に考慮する点は様々かと思いますが、税務調査の経験を考慮して選ぶことも重要です。