無予告で税務調査が入った方へ

1 無申告とは

申告書を提出する義務があるにもかかわらず申告書を提出していない状態を無申告といいます。無申告となっている理由は様々かと思いますが、本業が忙しく申告まで手が回らなかったり、税務の知識がないために申告義務があることを知らなかったり等、悪意がない場合も多いのではないでしょうか。

しかしながら、無申告が発覚した場合は相当のペナルティを受けることとなります。無申告に対する法律上のペナルティは年々厳しくなっており、その多くは悪意がなかったとしても免れることができないものです。また、ペナルティ以外にも、税務調査に入られやすくなる等、無申告には多大なリスクが伴います。

2 無申告に対する国税庁の取組

国税庁では、主要な取組の一つとして所得税、法人税共に無申告に対する取組を掲げていることが公表されています。実際の調査実績は以下のとおりとなっており、国税庁が重点的に無申告の調査を行っていることが分かります。

⑴ 個人の無申告を対象とした税務調査

個人の無申告に対して、国税庁は「申告納税制度の下で自発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感もたらすため、的確かつ厳格に対応していく」として、令和3事務年度においては、3,828件(コロナ前の平成30事務年度は8,147件)の所得税調査が行われています。

1件当たりの申告漏れ所得金額は2,923万円であり、1件当たりの追徴税額は過去最高の497万円となっています。申告漏れ所得金額の総額は1,119億円(同1,658億円)、追徴税額の総額は190億円に上ります。また、消費税の無申告者に対する税務調査は、令和3事務年度において5,257件(同9,631件)実施されています。1件当たりの消費税の追徴税額は245万円、追徴税額の総額は169億円です。

参考:国税庁「所得税及び消費税調査等の状況」

⑵ 法人の無申告者を対象とした税務調査

法人の無申告に対して、国税庁は「申告納税制度の根幹を揺るがすことになるため、資料情報の更なる収集・活用を図り、積極的に調査を実施」するとして、令和3事務年度においては、1,482件(コロナ前の平成30事務年度は2,683件)の法人税調査を行い、総額90億円(同75億円)の追徴課税を行ったとしています。

また、消費税の無申告に対しては、1,223件(同1,999件)の調査が行われ、追徴税額の総額は82億円(同66億円)となっています。

参考:国税庁「法人税等の調査実績の概要」

3 無申告に関する税制改正

近年、無申告に関する税制改正が相次いで行われています。

⑴ 証拠書類の提示がない場合の経費計上(令和4年度税制改正)

無申告等の者に対して所得税又は法人税の税務調査が行われた際に証拠書類を提示しない場合、経費計上が原則として認められなくなりました。これは、所得税の場合は令和5年分以後について適用され、法人税の場合は令和5年1月1日以後に開始する事業年度の法人税について適用されます。

⑵ 高額無申告に対する無申告加算税の割合の引き上げ(令和5年度税制改正)

加算税制度が見直されます。納税額が300万円を超える部分のペナルティとして無申告加算税の割合が30%(従前は20%)に引き上げられます。これは、300万円超の無申告を「社会通念に照らして申告義務を認識していなかったとは言い難い規模(高額無申告)」であるための措置とされ、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。

⑶ 繰返し行われる無申告に対する無申告加算税等の荷重措置(令和5年度税制改正)

前年度及び前々年度の国税について、無申告加算税(調査通知前かつ更正決定予知前の場合が除かれます。)又は重加算税を課される者が更に課される無申告加算税又は重加算税について、加算税の割合が10%加重されます。

これは、繰返し行われる無申告を防止し、納税コンプライアンスを高める観点から、自主的な申告を促すための措置とされ、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。

参考:財務省「令和5年度税制改正」

4 無申告の対処法

以上のように、無申告に対する国の取組は年々厳しくなり今後もこの流れは継続されるものと考えられます。これに対処する方法は一刻も早く申告書を提出し、無申告の状態を解消することです。

弊所では無申告の方のご相談には特に力を入れています。今であれば最悪の事態は避けられるかもしれません。ご連絡をお待ちしています。

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